カフェオレマーブル色を求めて。〜 前編 〜
- kéngo
- 7 日前
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更新日:2 日前
こちらのお話は、26年春夏コレクションのtencel wool シリーズで製作した”カフェオレマーブル色”について綴ったものです。
何気ない日の出来事から生まれたこの色が、どのようにして形になっていったのか。
きっかけから、先日染色工場で目にしたことまで、前編と後編に分けてお届けします。
とある初夏の日。日本橋高島屋へ。
訪れた目的は買い物ではなく、日本橋高島屋の"壁"を見ること。
ご存知の方も多いかもしれないが、日本橋高島屋の壁には、アンモナイトやべレムナイトなどの化石が埋まった大理石が使われている。その存在は知っていたけど、実物を見たのはこの日がはじめてだった。私たちは、同行していた友人と、そのお子さんと一緒に、夢中になって化石探しを楽しんだ。
途方もない年月をかけて、自然の力で出来た壮大な大理石。
その模様は、カフェオレを作る際に、コーヒーとミルクが溶け合った一瞬を切り取ったようで、とても美しいな、と感じた。
こんな色の服を作ってみたいなあ…と、ぼんやり思った。
それが、カフェオレマーブル色の、きっかけ。

化石探し、楽しかったし綺麗だったなあ・・・
そんな余韻に浸りながら、いつも染色でお世話になっている内田染工場さんに、「こんな色に染めてみたいのですが、表現できそうですか?」と、問い合わせてみた。
すると内田さんが、「”ゆるムラ染め”とか、きれいだと思いますよ。」とご提案してくださった。
「ユ ル ム ラ ゾ メ ・・・???」
私はしばらくハテナ状態。
内田さんがおっしゃるには、「ムラ染め」を「緩めに」おこなう染色方法らしい。
なるほど、緩ムラ、か。
ムラ染めはなんとなく知っているけど、それを緩く行うとはどういうことなんだろう。
言葉で聞いただけでは、イメージできるような、できないような。
その工程や、布に色が入っていく様子を実際にこの目で見て、記憶に残したい。
その思いを胸に、先日工場を訪ねた。

打ち合わせで何度がお伺いしたことはあるけれど、実際に工程を見せていただくのは、今回がはじめて。
到着してすぐに案内された作業場では、担当の職人さんが、すでに作業を始めていた。
はじめに見せていただいたのは、生地に凹凸をつける工程。

この凹凸がついたままの状態で生地をネットに入れ、形をキープしたまま染める。
そうすることで、生地の表面は濃く、内側はあまり染まらず、自然な色の濃淡――ムラが生まれるらしい。
このとき、生地をぎゅっと強く寄せすぎると、染料が奥まで入りきらず、コントラストのはっきりした、少しパキッとした表情になってしまうそう。それは、「コーヒーとミルクがゆっくり溶け合うような」イメージとは、遠くなってしまう。
ゆるムラ染めは、色の濃淡がやさしく混ざり合うように、この工程を“緩めに”行うことが、いちばんのポイントだそうだ。
きつすぎても、ゆるすぎても、いけない。
仕上がりの表情を左右する大事な作業なので、ひとつひとつ慎重に。
数値化できるものではなく、長年の手の感覚を頼りに、塩梅を見極めていく。
こんなに小さなアームウォーマーも、一つ一つ丁寧に。
まるで赤ちゃんに触れるときのように、優しく服を扱ってくださっていることに感動。
「こんなに優しく触っていただいて嬉しいです。」と伝えると、「もちろんですよー。」と、担当の萩原さん。
次は、凹凸をつけた服たちを、ネットに入れる工程へ。

先ほど凹凸をつけた形状を崩さないよう、一つ一つ、ネットに入れていく。このとき、一つのネットに入れる服の量によっても、染め上がりは変わってくるそうだ。
たくさん入れすぎても、少なすぎてもだめ。
複数のネットが、それぞれほぼ同じ容量になるよう、バランスを見ながら分けていく。
さらに、口を紐で縛るときにも、絶妙な力加減が必要になる。
せっかく丁寧に入れた服たちが、ネットの中で動かないように。でも、ぎゅうぎゅう詰めにはならないように。
その加減を、また手の感覚だけで見極めていく。

次はいよいよ、染色の工程へ。
その様子は、後編で。





